21.「心変わり」
2021年になって、バンドは少しずつ有観客ライブを再開していく。
それと並行して、ニューアルバムの制作も再開する。
不思議なことに、左での練習を始めてから、ライブやリハーサルが楽しくなっていき、右手でのプレイも安定してきた。
心に余裕ができたんだと思う。
右手でうまく弾けなくても、
「いや、僕はレフティギタリストになるし、今はその過程だから」
みたいな(笑)
そうすると色々なことが変わってくる。
ジストニアになってからは、音楽を聞くのが何よりも嫌だった。
家で少しでも音楽が流れてたらすぐに消してた。
どんなにカッコ良い音楽でも、僕はもうこんな風に綺麗にギターを奏でられないと思うと、聞けば聞くほど惨めな気持ちになって、泣いてしまうからだ。
しかし、レフティギタリストになることを決意してからは、学生時代のように、音楽への熱い思いがまた溢れてきた。
心の炎がまた点火し始めたんだ。
今では毎日のように素晴らしい音楽を聴き、吸収している。
本当に心というものは、四季のように変化する。
だから世界に絶望したって、何年か後には、きっと新しい希望を見つけてまた笑顔になれる。
僕はそう思う。