6.「LACCO TOWER」
僕たちLACCO TOWER、バンドとして21年目に突入する。
他のバンドと比べても割と仲が良い方だと思う。
いまだにたくさんバカ話をするし、ツアーに行ったら昼飯も夕飯も、基本的にはいつも一緒。
移動中もたくさん笑い合う。
僕はメンバーのことが大好きだし、尊敬もしてる。
ダメなところもいっぱいあるけど(僕も含めてね)、そこも含めて愛せているから仲が良いんだと思う。
けどずっと良い状態だったわけじゃない。
表面的にはうまくいってるように見せてたけど、実際はメンバー間はピリピリしていた時期もある。
会社を作ってメジャーデビューして、自分たちだけの夢だったものがたくさんの人の夢に変わっていった。
大袈裟にいうと色々な人の人生を背負う形になっていった。
楽しいから、表現したいことがあるから音楽をやる、だけでなく明確な結果が必要になっていった。
要は売れないといけないってこと。
CDをたくさん売ってレコード会社に貢献しないといけないし、ライブでもたくさんチケットを売って、抱えてるスタッフさんたちの給料を払って生活を支えていかないといけない。
だから休んでなんていられない。
休んでる暇があったら、一枚でも多くCDを売ってチケットを売らなきゃいけない。
楽しいだけじゃダメなんだって実感させられていく。
またアーティストとしてはもちろん、音楽事務所の役員としての結果を出していかなくてはいけない。
他の会社の方と接する時も、会社設立当初はアーティスト兼会社役員ってことで甘えさせてもらってたところも、2年目3年目になると一端の会社役員として対応することになる。
毎日のように怒られてた。
アーティストなのは当然、会社役員なんだからって。
アーティストして8時間使うなら、会社役員としても8時間は使わないと他の会社に対応できないよって。
メジャーデビューして2年目、3年目は本当にキツかった。
何度も何度も辞めたいって思いながらも、言えない日々を過ごしていた。