8.「泥沼期」
自分はジストニアかもしれないと意識してからは、色々なことを試してきた。
お酒のせいかとお酒を絶ってみたり、運動不足からかと毎日の生活にストレッチや筋トレを入れてみたり、食べるものを変えたり。
病院にも通いはじめ、時には精神的な治療もした。
お医者さんからも、周りからも「ギターを弾くのは辞めなさい」と言われ続けたが、そういうわけにはいかない。
弾けない不安から、よりいっそう練習に没頭していくことになる。
この時の僕の考え方は、、、
ジストニアは脳の伝達バグ。
それなら
新しい弾き方を脳に覚えさせ、バグの上書きをする。
この考え方で練習していた。
※これは全然推奨されていないやり方なので、お勧めしません。
こんな考え方をしてるので、とにかくたくさんギターを弾くべきと思っていた。
会社の仕事を少し他スタッフさんにお任せしながら、今までにも増して練習量を増やしていく。
しかし一向に改善の可能性を見出せず、初のホールツアーを迎えることになる。
この時期は自分自身、とてもピリピリしていた。
常に笑顔は絶やさないようにしていたが、ライブ前は周りを寄せ付けない状況だった。
何せ、自分にとってのアイデンティティである「ギターをうまく弾ける」ということが奪われつつあるからだ。
そんなことになったら自分の存在価値はない。
この世界から自分の居場所がなくなってしまう。
そんな悩みも解決されないまま、時は流れていく。
そしてホールツアーが始まった。