18.「決心」
レフティギターに活路があるのではないかと感じた僕は、次の日にすぐ、御茶ノ水にレフティギターを買いに行った。
買ったのは中古で60,000円のフェンダーギターだ。
当然全く弾けないので、ほとんど試奏しないで見た目で購入した。
中学生以来のドキドキが自分を包んでいるのがわかる。
ギターを購入して家路を急ぐ。
帰り道に見えた富士山がとても綺麗だったのを無性に覚えている。
自宅について、すぐさまギターを構える。
コードは押さえられない。
なので何も押さえないまま、ギターをジャラーンと弾いた。
Em7(11)のコードが部屋に鳴り響く。
その瞬間!
僕は今までにないくらいの潤いを感じた。
そこであることに気がついた。
そうか僕はこの4年間、ずっと乾いていたんだ。
ギターを弾くのがこんなに楽しいだなんて!
何も押さえないで、ただ左手でピックを持って、弦を鳴らしただけ。
けど、今の僕はそれすらも苦しく感じていたので、何も考えないでギターを響かせられたことが死ぬほど嬉しかった。
ここで僕は決めた。
僕はレフティギタリストになる。
その時僕は、39歳。
ギター歴25年。
今から始めれば、25年後は64歳。
65歳になったら今よりも上手くなってるはず(笑)。
超単純明快、取らぬ狸の皮算用、みたいだが僕を奮い立たせるには十分すぎる理由であった。
もう一度言う。
僕はレフティギタリストになる。